私は、夕陽の沈む方向や潮汐、天の川のかかる方向などを知ることのできる非常に便利なアプリPhotoPillsを利用しているのだが、そこが時折写真関連の無料ビデオクラスを開催していて、私はよく視聴させてもらっている。今回、Jose Bonito Ruiz氏による「写真における構図」というタイトルのビデオが公開された。このタイトルで1時間以上に渡って話をできるだけでも大したものだとは思うが、なかなか示唆に富んでいた。
写真撮影における構図というのは、次のような項目に留意しなくてはならないということだった。それは、点、線、アウトライン、方向、トーン、色彩、テクスチャ、スケール/比率、次元、動き、スペース。どれも当たり前でしょ、というのは容易いが構図という視点で全てを説明できるだろうか。私にとっては、目から鱗だった。もちろん、RAWファイルで行うことが前提となっていることは、言うまでもない。以下は、それを簡単なメモとして残した。
点:写真の中の適切な位置に、点が存在することによって視覚的インパクトを与えることができるということである。よく知られているのは1/3分割であるが、Ruiz氏は視覚的アンカーポイントとして、より縁辺部寄りに配置した点に重要性を感じている。
線:天の川の流れる方向や動物を逆光から撮影したときの輪郭は、その存在を際立たせることが可能という。これには、海底の砂の波紋、地質的な割れ目なども効果的かもしれないということである。
アウトライン:四角、三角、円、さらにそれらの曲率などを変化させた幾何学的な形状は、視覚的な効果があるということ。
方向:水平や鉛直線は、写真のバランスという意味で、基礎となるものであると指摘している。さらに、中心に向かう被写体の流れも視線を牽引させることに貢献できるとしている。
トーン:写真の基礎で学ぶ、ハイキー、ロウキー、それに加えて強度を加えて説明している。もちろんどれが良いという話ではない。表現したい対象によって最も適したトーンがある。さらに、光をどの角度から当てる(側方、後方など)かで印象が違うという。
色彩:色は視覚的な強さが異なり、それを効果的に配置するように配置できればということで、より強い色から順に、赤、オレンジ、青、緑、黄とのこと。また、色はHUE、SATURATION、BRIGHTNESSによって定義されている。
テクスチャ:上空から見た森林分布、窓ガラスの水滴など、その形状によって整然とした配置なのか、あるいは破壊的な印象を与えるか、様々な利用が可能である。
スケール/比率:スケールとは空間の中で比較のために、例えば人などを適切に配置することで、スケールを表現できるということ。写真は2次元の媒体であるが、それによって3次元的な奥行きを表現できるという訳。比率も同じように、例えば、対象物を画角全体の中でどこに配置するのか、空間との比率をどのようにするかによって、構図が全く異なってくる。
次元:これは、前節とも関連するが、3次元的な奥行きを出すために、雪原の足跡を入れる、オーロラの流れ、遠方の対象を際立たせるために手前にある岩盤を入れ込む、砂丘に遠近感を加えるために手前に樹木を入れ込む、などの方法がある。
動き:この動きという視覚的要素を入れ込むことで、観察者の視線を誘導することが可能ということ。それは、そこにある螺旋階段であったり、樹木の風に揺れる様子であったり。それは、能動的に作り出す方方法もあるとして、カメラを揺らすことも指摘している。
スペース:これは、特に絵画的な発想が必要になるが、どこに、どの程度スペース(空間)を入れ込むかということ。個人的には、この部分大いに賛同する点で、構図というと大体が枠にはめ込むような批評をされるのであるけど、うまくスペースを利用できれば印象が大きく変わるはず。
以下にURLを記すので、ご興味の方はご参考にされては如何でしょう。
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